PRODUCE INNOVATION 日テレの新しい取り組み

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Sports AI

日本中が熱狂したラグビーW杯2019日本大会。
「超人的なラガーマンの能力を視聴者に伝えるためにはどうすればいいのか…?」 その答えの一つが、最先端技術AIを用いた選手データの可視化でした。
若き技術者の想い、そして見据える未来とは…

WHATS

近年急速に発達している人物検出や顔認識などの画像認識AI分野の技術を活用し、スポーツコンテンツの解析を行っています。昨年のラグビーW杯においては、トライシーンにおける選手の走行速度の算出や、長距離ランプレーにおける走行距離などをリアルタイムで算出し、そのデータは試合の解説に用いられました。画面で見るスポーツ選手は「どれくらい速いの?」「どれくらいすごいの?」を数値化することで、スポーツの醍醐味、選手の魅力をより視聴者に伝えることができるのではないかと考えています。また多くの海外選手が出場した今大会において、顔認識によって選手を瞬時に識別し、選手紹介テロップの自動選択できるようにしたことでオペレーションの負担を軽減する取り組みも行いました。これらの取り組みは、昨年度の映像情報メディア学会においてコンテンツ技術賞を受賞し社外でも大きく評価されました。

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SPORTS AI

WHY

スポーツ中継における画像認識AIの活用は、約5年前に手探り状態で着手しました。当初はオペレーションの負担をAI活用によって軽減できないかといった要望が制作現場から寄せられ、選手の自動切り出しや、チームの自動判定などの開発を中心を行っていました。その中で人物認識分野における自動認識の正確さや、その処理の速さを活かしてスポーツ選手の魅力をより視聴者に伝えることはできないかといったことを考えるようになりました。現状のスポーツ中継では、過去の成績や選手プロフィールなど、事前に準備したデータをもとに解説しています。それに対し上記のようなAIを活用したプレー解析では、その処理の速さによって「まさに今のプレー」といったもののデータの可視化を実現しました。このように日本テレビでは画面では伝えることが難しい超人的なスポーツ選手の能力をより視聴者に届けるために様々な技術を活用しています。

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INNOVATION

これまでのスポーツ中継はスコアやルールテロップなどの表示、複数のカメラスイッチングなど様々な「スポーツ中継を見やすくするための技術」が駆使されて出来上がっていました。一方で技術の進化により人の目以上に詳細なデータの取得や、高速なデータの解析が可能になり、「スポーツの魅力をより引き出す技術」がどんどん生まれています。これらの技術をフル活用し応用することで、競技初心者には競技場で見るよりも見やすい視聴体験を、競技のファンには技術的な解析による新たな魅力を伝えられるような視聴体験を提供することを目指しています。多くの人が偶発的に目にすることが多いマスメディアだからこそ、全方位の層に魅力を発信することが大事だと考えています。

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FUTURE

我々が目指すのは競技場でのスポーツ観戦の代替手段にとどまらない、新しいスポーツ視聴の形です。上記の他にも日本テレビでは現在、ロードレースにて選手のストライドやピッチを骨格認識技術によって測定しレースの展開を分析したり、野球にてAI vs 人間の構図で配球予想を行い試合展開を楽しむなど、新技術を取り入れた様々なトライアルを行っています。そしてコロナ禍において競技場でスポーツの生観戦をすることが困難になっているこの時代に、より多くの人にスポーツの魅力を伝え続けることは放送局の宿命の一つでもあリます。これからも最新技術を取り入れスポーツの魅力をより一層引き出す、そんなメディアを目指して日々試行錯誤していきたいと考えています。

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