(2003/10/29放送)


 
ドナウ川の流れとともにある街、ウィーン。
目の前を賑やかに人々が行き交う、この建物の二階には、
ワルツ王と呼ばれた音楽家、ヨハン・シュトラウス二世の家があります。


   
彼の代表作、「美しく青きドナウ」は、
愛する妻と暮らした、この部屋から生まれました。


   
周囲の反対を押し切って結婚した七歳年上の妻、ヘンリエッタ。
ダンス音楽の指揮者だったヨハンに作曲に専念するよう、勧めたのは彼女でした。


 
自分に作曲家としての才能があるのか、
生活が成り立たなくなったらどうするのか…。
不安だった彼の背中を、押してくれたのです。
あなたの心が求める仕事をしてほしい、と。


   
 
 
夜、アイデアが浮かぶと、シーツに音符を書きとめ、
夢中になって曲を作っていた、夫の気持ちを察していたのでしょう。


   
 
 
美しいメロディと、心躍るようなリズム。
ヨハンの音楽が、聞く人々を幸せな気分にさせてくれるのは、
彼自身が、優しさと思いやりに包まれていたからかもしれません。




(2003/10/29放送)

今回の放送のBGM♪
「美しく青きドナウ」ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
次回(2003年11月5日)の『心に残る家』は
シューベルト 『家族の温かさに包まれた生家』をお送りします。
お楽しみに。