西太后  『晩年を生きた「頤和園」』

(2005/4/13放送)


北京市、海淀区。
湖を包むように広がるこの庭園は、西太后が慈しんだ頤和園です。


   
   
清王朝の皇太后であった彼女は、
晩年、紫禁城を離れこの地で政権を握り続けます。
垂簾(すいれん)政治と呼ばれた彼女の執務は、
男女の別が厳しかった時代に、
顔を見せず簾の中で政治を執ったことから呼ばれたものでした。


   
   
西太后のお気に入りは、湖のほとりに建てた楽寿堂。
たくさん作られた寝室を、その日の気分に合わせて使うのです。
一日の大半を読書に当てたり、
湖上に浮かべた船から景観を楽しんだり、
一日二度の食事には、
必ず100種類以上の珍味を用意させました。


   
   
やがて清王朝に黄昏が訪れても、
西太后は変わることなく、権力と享楽を求め続けます。
舞台をしつらえた徳和園では、
盛大な京劇が、彼女のために演じられていました。


   
   
西太后の遺産とも呼ばれる頤和園。
その絢爛な姿は、
彼女が見たうたかたの夢、そのものなのかもしれません。


西太后  『晩年を生きた「頤和園」』

(2005/4/13放送)

今回の放送のBGM♪
「古都」演奏 チェンミン
次回(4月20日)の『心に残る家』は
イサムノグチ『石の声を聞いた家』
をお送りします。
お楽しみに。