第5章 ファッションの女王としてのマリー・アントワネット

ルイ・オーギュスト・ブラン, 通称ブラン・ド・ヴェルソワ
《狩猟をするマリー・アントワネット》

スイス人画家ブラン・ド・ヴェルソワは、フランス王立アカデミーに学び、国王首席画家ピエールに目をかけられる。おそらくリュイヌ公爵夫人の仲介により、まもなくマリー・アントワネットのもとに迎えられた。
この肖像からは、王妃が経験豊かな乗馬の騎手であったことがわかる。描かれているのは特に好んでよく行っていた狩猟の情景で、マリー・アントワネットは優美で軽快な様子で馬に横乗りしている。ルダンゴト・ドレス〔ウェストを絞ったコート型のドレス〕が彼女の腰まわりを上品に際立たせている。頭にはダチョウの羽根で飾られた帽子を被っている。赤いお仕着せ姿の黒人の小姓が王妃の日傘を手にしている。一方後景には、ひとりの騎手が見える。上半身に聖霊騎士団の青いリボンをかけたこの騎士は、ルイ16世とみなされている。

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