DASH島 ~神社を湿気から守れ~
DASH島の森の中で、初上陸から開拓を見守る100年以上前に建てられた神社。
それが、雨風か、老朽化か、平成最後の年に屋根から崩れ落ちた。
福島DASH村の母屋や島の舟屋を建ててきたTOKIOも、神社仏閣の再建は未経験。
そこで、力を貸してくれたのが日本を代表する名工、宮大工の生形英雄さん。
まずは、神様が祀る本殿を慎重に舟屋へ。一時的に避難して頂き、再建に取り掛かる。
残った材を見れば、倒壊の原因は一目瞭然。「虫(シロアリ)が食ってる」
「シロアリは地上1mより上にはあまり行かないんだけど、湿気ってるから活発」と生形さん。
熱帯地域で活発なシロアリが、温暖多湿のDASH島の森でも柱の高い所まで食い荒らしていた。
さらに、倒壊の原因は足下にも。
一般的に神社仏閣は床下に空間があり、空気が循環することで常に材木を乾燥させる。
しかし、DASH島の神社は、床が地面にベタ付きで水分を吸い上げ放題。
水分をたっぷり含んだ柱にはコケまで生えている。常に湿れば、材木は腐食しもろくなる。
さらに、生形さんが指摘するのは「(神社の壁と)石垣との間に隙間がないから風の通りが悪い」
というのも、降った雨水が石垣で跳ね、積んである隙間からも染み出すことで材木に。
ベタ付きの地面から、乾くそばからどんどん雨水を吸い上げる。これが倒壊の大きな要因に。
そこで、城島が生形さんと共にやって来たのは、福岡県添田町。
福岡には約3400の神社があり、中でも英彦山(ひこさん)は、日本三大霊山にも数えられた。
雨が多い環境だが多くの社が残り、その宮大工の知恵と技術、無人島で活きるはず。
「この鳥居は銅で巻いてある」と生形さんが言うのは、銅鳥居(かねのとりい)。
佐賀・鍋島藩により寄進された青銅製の重要文化財。
そして、400段の階段を上がった先には、400年前に建てられた「英彦山神宮 奉幣殿」。
天照大神の神子で、農業や工業の神・天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)が祀られている。
まず、目を引いたのが柱の大きさ。生形さんも「一般住宅だとこれだけの(太い)柱はない」
一般の住宅は多くの柱と壁でその重みを支えるが、神社仏閣は人が集まるため、中の空間を広く。
少ない壁と建物の周りの柱だけで数百年支える。それには、太い柱が必要。
と、城島が気付いた。「島の舟屋には斜めに“筋交い"があったんですけど、それがないですね」
舟屋の柱の間には、強度を増すために筋交いを入れたが、この神社には見当たらない。
「柱がすべて貫通してるから強いんです」生形さんが教えてくれたのは、“貫(ぬき)工法"。
筋交いで補強すると、固定した金物が錆びる恐れがある上に、揺れに対して、力の逃げ場がなく、錆びた金物が外れ、崩壊することも。
一方、貫工法は、柱に材を貫通させ、楔(くさび)で固定する工法。
錆びないだけでなく、揺れに対しても、木のしなりと楔のズレで適度に力を逃がし強度を保つ。
そして、160年前に建てられた、「英彦山神宮 下津宮」。
周りは、DASH島の神社と同じく石垣が囲うが、「コケが生えてる」と城島。
さらに見つけたのはDASH島でもよく見るマムシグサ。湿気の多い森に自生する植物。
これを見た城島は「DASH島の森と同じで湿気が多いってことなのかな」
神社が倒壊したDASH島と似た環境にも関わらず、この地に160年。そこにも、宮大工の知恵が。
神社の壁と石垣の間には2mの幅が。風が通ることで湿気がこもらず、柱は濡れてもすぐに乾く。
さらに、屋根の真下には側溝が設けられ、これが屋根から落ちる雨水を受け止めるだけでなく、石垣から染み出る水も柱に寄せ付けない。
雨を柱から遠ざけ、水や湿気を徹底的に逃す、これを無人島の神社でも!
さっそく、DASH島に戻り、地盤を固める作業を進めるが…そこで予想外の物を発見する!?