前足

※首長竜をクリックする事で、各部分の化石を見ることが出来ます

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発掘２２０日目

指骨（３１）

長さ3.0 cm　太さ0.8 cm

第１プールで掘り出した岩盤の中から、220日目に、橋本隊員が発見した。

橋本隊員がハンマーで岩を割ったところ、いつもとは微妙に異なる音がした、と言う。
ハッとして手元を見ると、岩の破片に混じって、骨らしい化石のかけらも散らばっていた。
橋本隊員が耳にした『音』とは、化石が砕ける音だったのである。
岩盤が雨水を含んでもろくなっていたのが、ひとつの原因かもしれない。
幸いにも、木っ端微塵というほど悲惨な状態ではなく、６個のかけらを拾い集めることができた。
肋骨の一部ではないか、という見方もあったが、接着剤でつなぎ合わせてみると、指骨の形になった。

発掘２１２日目

ヒレ

長さ8.0 cm　太さ10.0 cm

川での発掘最終日となった212日目（5月31日）、やや焦りを感じながら隊員たちが作業に取りかかると、まもなく、第１プールを掘っていた太一が声を上げた。
「デカい！　見つけちゃいました・・・スゴいなぁ、まだあるなぁ」。
冗談めかした言い方であったが、それは一同の心に希望の灯をともす発見となった。
岩盤の表面に、骨化石が顔を出している。
鈴木先生がタガネとコンクリート針を使い、岩盤から化石を取り出した。

本部で乾燥させた後、神田隊員がクリーニングを行う。
母岩はあまり付着していないので、骨の表面をエアチゼルで軽く削る程度で済んだ。
しかし、骨の一角が欠けているので、その部分を石膏で埋め、さらにパテを塗り重ねて保護する。
パテが乾いたところで、余分な部分を彫刻刀で削り落とし、クリーニング完了。

これまでに数え切れないほどの化石をクリーニングしてきた神田隊員、これも自信作のひとつとなった。

鑑定の結果、首長竜のヒレの一部であることが判明。
これまで発見されていなかった「前足」という可能性もあるが、断定はできない。
引き続き、調査中である。

発掘１７１日目

大腿骨（６）

幅17ｃｍ　20.8ｃｍ

大腿骨（５）の下の部分に続く岩盤から発掘された化石。これまで例を見ないほどの大きさに、誰もが驚きを隠せなかった。

これも化石だけを取り出そうとしたが、化石がもろくこのまま発掘するとバラバラに崩れる危険性が高い。
そこで、化石の上から石膏を流し込み、固まったところで岸へ運ぶ。大腿骨（５）の下に静かに頭をもたげている化石を取り出すために、約３００ｋｇにもなる周りの岩盤まるごと掘り出し、７人がかりで本部まで運んだ。

１７４日目、乾燥させた岩盤をクリーニング始める。面積の広い化石は、太一が担当しエアチゼルで母岩を削って完成。
根元の部分は神田隊員が担当し、８０ｃｍぐらいの大きな岩盤を砕いていると、３分割された状態で、それをつなぎ合わせてからクリーニングを行った。

化石自体の保存状態は結構よかったので、破損することはなかったものの、今までにない太さと大きさでかなりの時間を費やした。
神田隊員がクリーニングし終えたところで高橋先生が石膏でつなぎ目を埋めて完成。

発掘１７１日目

手の甲（４）

縦4.9ｃｍ　横6.7ｃｍ

１７１日目、鈴木先生が第１プール
中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤を本部に持ち帰り、本部前でダイヤ　モンドカッターで切れ目を入れて、タガネを差しこみ岩盤を小さくした。

いくつかの小さな岩盤とは言っても約３０ｃｍほどある岩盤をクリーニングする。すると、岩盤の表面に骨組織が見られる。
実は、ここでクリーニングされた化石は手の甲の骨の半分だけ。もう半分は神田隊員が１７３日目にすでにクリーニングしていて、何の部位なのかわからないまま保管されていたものをつなぎ合わせたところ見事一致した。

発掘１７１日目

手の甲（３）

幅3.7ｃｍ　長さ4.3ｃｍ

１７１日目、鈴木先生が第１プール中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤を本部に持ち帰り、本部前でダイヤモンドカッターで切れ目を入れて、タガネを差しこみ岩盤を小さくした。

この化石が発見されたのは、岩盤の中心からやや上の方、岩盤を割っていき、浮かび上がってくるように化石は現れた。
約２０ｃｍくらいの塊にした岩盤から取り出され、表面には３ｃｍの厚みのある骨の組織が見られる。
岩盤は思ったより硬くなかったので、簡単に取り出すことができた。
さらにこの化石には続きがあり、近くに転がっていた岩盤に入っている化石と接合したところ
ピッタリ一致した。

発掘１７１日目

手の甲（２）

縦4.5ｃｍ　横5.6ｃｍ

１７１日目、鈴木先生が第１プール中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤を本部に持ち帰り、本部前でダイヤモンドカッターで切れ目を入れて、タガネを差しこみ岩盤を小さくした。

大きく二つに割れた際、手の甲（１）が発見されたことに、まだ他にも化石が含まれているとみた太一、久々にハンマーで岩盤を叩き割る。

細かく砕いた岩盤からはいくつもの化石がすぐに見つかったわけではないのだが、比較的大きなこの手の甲（２）の化石は太一がすぐに目に付いたものである。

その後、エアチゼルで丁寧に母岩を削っていく。しかし、化石の側面がボロボロであまりいい形ではない。
大きさからして、指ではないけど大腿骨でもなさそうだという見解を隊員らは出していたが、高橋先生は手の甲であるという鑑定を下した。

発掘１７１日目

手の甲（１）

縦4.3ｃｍ　長さ6ｃｍ

１７１日目、鈴木先生が第１プール中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤からみつかった化石のうちの一点。

発掘してきた岩盤は、本部前でダイヤモンド
カッターで切れ目を入れて、タガネを差しこんで二つに割った。
そのときに最初に見つかった骨がこれである。

クリーニングしている時にどこから母岩を
とっていくか考えるために目印をつけて
ハンマーとコンクリート針で母岩を少し削ると、パソコンのフロッピーを抜くような感じで化石がスッとでてきた。

化石自体には、さほど母岩がくっついていないため、エアチゼルを使い短時間でクリーニングは
終了した。

大腿骨（５）

幅3.5ｃｍ　長さ5.3ｃｍ

黒山隊員が第１プールより発見した化石。
青柳隊員が首長竜の歯を発見して、数十分もしないうちに発見された。
発見されたときの様子は、岩盤の表面に指骨の関節部分が見えていたので、今まで見たことがあったので、先生がいなくても指骨だということがわかった。
クリーニング結果、岩盤から出ている部分も含めかなり保存状態のよいものといえる。

発掘１７１日目

指骨（２６）

幅2.4ｃｍ　長さ5.8ｃｍ

発掘１７１日目。鈴木先生が第１プール
中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤を本部に持ち帰り、本部前でダイヤモンドカッターで切れ目を入れて、タガネを差しこみ岩盤を小さくした。

その岩盤を太一と神田隊員がハンマーで割ると、なんと骨化石まできれいに二分割されてしまった。
骨化石は腐敗が進みつつあるためやわらかったものの、母岩はかなり硬く、何度もダイヤモンドカッターで削って１ｍｍぐらい薄く岩盤を残し、あとはエアチゼルによって母岩を削っていった。
何度か骨化石にヒビが入り、割れないように慎重にクリーニングする神田隊員だった。

指骨（２５）

幅1.7ｃｍ　長さ4.7ｃｍ

１７１日目、鈴木先生が第１プール中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤を本部に持ち帰り、本部前でダイヤモンドカッターで切れ目を入れて、タガネを差しこみ岩盤を小さくした。
その岩盤の表面を橋本隊員がハケで掃いていたところ骨組織らしいものを発見。
しかし、骨自体表面に見えていたけれども骨と岩盤の境目が非常にわかりにくかった。

クリーニングでは、化石の周囲の母岩が非常に硬く、なかなかエアチゼルが入らなかった。
そこで、ダイヤモンドカッターで切れ目を入れ、そこからエアチゼルで削っていった。
なんとかクリーニングを終えた。

指骨（２４）

幅2ｃｍ　長さ5.8ｃｍ

灰色の岩盤に青光りする化石で、きれいに岩盤に埋まっていたため、コンクリート針で、すんなり母岩を取り出すことができた。
幅は細いが長さが比較的あるため、足ヒレの中央部分になるのではないかと太一。ほかの化石と比べるとちょっとした違いだが、その色に興味を持っていた。

指骨（２３）

幅2.5ｃｍ　長さ4.6ｃｍ

１７１日目、鈴木先生が第１プール中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤を本部に持ち帰り、本部前でダイヤモンドカッターで切れ目を入れて、タガネを差しこみ岩盤を小さくした。

クリーニングの済んだ卓上には、首長竜の足ヒレの形がほぼ複製されている情況でもあった。
ここまできたら、全て出てこないものだろうか？

この化石も、岩盤の表面に見られた骨組織をもとに、ハンマーとコンクリート針で取り出した。
実は、この岩盤から出てきた指の骨の化石は割れることなくきれいに発見されていた。
しかし、この化石に関しては、母岩の中から２分割してでてきた。
割れた接合面に崩れた後などはなかったため、ピッタリ一致！
ふたつを接着剤で接合し完成。

指骨（２２）

幅3ｃｍ　長さ3.6ｃｍ

１７１日目、鈴木先生が第１プール中流で発見した大腿骨（６）が入っていた岩盤を本部に持ち帰り、本部前でダイヤモンドカッターで切れ目を
入れて、タガネを差しこみ岩盤を小さくした。

小さくした岩盤にさらにコンクリート針を何本か使い取り出す。
母岩がしつこくつきまとい、なかなかきれいにならない。これは、中心が欠損していて、そこに母岩がへばりついていたためで、その部位に関しては、後に高橋先生に石膏で穴を埋めてもらい完成した。

指の骨としても、最大級のものに値するこの化石。
「きっと、指の付け根の部分だったんだろう」と太一の見解。
それにしても、一ヶ所の岩盤からここまで調子よく化石が出てくると、俄然やる気もみなぎり腕もなる。
他の隊員らの表情もいつも以上に明るく、さらに新たな発見がないかと、その探す目も光り続ける。

指骨（２１）

幅3ｃｍ　長さ5.7ｃｍ

黒山隊員が第一プール下流で３０ｃｍぐらいの灰色の岩盤をはがしていて，エアピックで掘り下げていったところ青い岩盤が見つかり、掘り出してみると指骨があらわれた。
クリーニングでは、青い岩盤の表面に骨全体が見えていたが，岩盤が硬くなかったため、慎重にエアチゼルで母岩を削り取っていった。

指骨（２０）

幅1.5ｃｍ　長さ2.5ｃｍ

金子隊員が第１プール下流岸側から１０ｃｍぐらいの灰色の岩盤に半分くらい埋まっていたクリーニングは、すでに半分出ていたため、エアチゼルを使い３分でポロっと取れた。

指骨（１９）

幅1.6ｃｍ　長さ2.2ｃｍ

橋本隊員が第一プール下流から発掘された２０ｃｍほどの灰色の岩盤を１ｋｇハンマーで割ったときに、岩盤の中に埋まった形で発見。
表面上から骨は見えていない状態だった。
クリーニングでは、岩盤自体は比較的柔らかかったが、骨自体も少しもろくてエアチゼルを使い慎重に行った。

指骨（１８）

幅1.7ｃｍ　長さ3.7ｃｍ

青柳隊員が第一プール対岸付近を発掘された１５ｃｍほどの灰色の岩盤をスコップですくっている途中で発見。
母岩が全くくっついておらず、保存状態が良かったせいかヒビもなくきれいな形だった。
パラロイド溶液を塗るだけでクリーニングらしきことはしなくて済んだ。

指骨（１７）

幅1.8ｃｍ　長さ3.3ｃｍ

神田隊員が第１下流対岸側の川底から発掘された岩盤をクリーニング中に発見した。
１５ｃｍの灰色の岩盤から５分程度に楽にクリーニングすることができた。
真ん中の細くなる部分は弱いのか最初からわれていることが多い。

指骨（１６）

幅2.8ｃｍ　長さ4.4ｃｍ

岩上隊員が第１プールの中流対岸側から発掘された岩盤を土のう袋に入れようとピッケルハンマーで砕いているときに岩盤の中から発見された。
クリーニングは、ほぼ半分に割れていたが、中の組織が結構ボロボロで、発見した時に割れた面がかなり欠けてしまった。
接合面なのでパラロイドを塗るわけにもいかず、慎重に削った。
接合面を考えると、接合してからのクリーニングが望ましかったが、まわりの岩盤が複雑なわれ方をしていて、うまく接合出来そうもなかったので、２つ共削りだしてから接合した。
接合面の接点が少なく不安定な状態だったので、パラロイド溶液を塗ってから高橋先生が粘土で隙間を埋めた。

指骨（１５）

幅1.5ｃｍ　長さ2.8ｃｍ

金子隊員がモササウルスの歯が発見された周辺の１０ｃｍほどの灰色の岩盤を持ち帰り、２日間乾燥させた後のクリーニング中にコンクリート針で一突きしたところあっけなくほぼ完全な状態で発見された。

指骨（１４）

幅3.4ｃｍ　長さ4.5ｃｍ

黒山隊員が第１プール下流側の灰色の岩盤から発見。
１０ｃｍぐらい掘り下げたところで、２０ｃｍくらいの青い岩盤をひっくり返したところきれいな白い骨が見えていた。
クリーニングは、グレーの岩盤なので岩盤自体は硬くないため、コンクリート針とハンマーのみで行った。
しかし、骨自体はもろかったため、少しの振動でヒビが入ってしまい接着剤で接合しつつ母岩から取り出した。

指骨（１３）

幅3.5ｃｍ　長さ5.3ｃｍ

黒山隊員が第１プール下流側のモササウルスの歯が発見された周辺の灰色の岩盤を掘り出しているときに発見。
エアピックで岩盤を砕いていたところ指の関節面がはっきり出ていた。
クリーニングは指の一部はすでに見えている状態で約２０ｃｍの岩盤だった。
クリーニングは簡単だったが途中、真ん中の細い所にヒビが入っていたが、５分くらいでほぼ完全な状態で取れた。

指骨（１２）

幅3.5ｃｍ　長さ5.3ｃｍ

発掘１５１日目

指骨（１１）

幅1ｃｍ　長さ3ｃｍ

発掘１５１日目。プールの水をポンプで抜いた後、大腿骨（３）の周りを鈴木先生が第２プール中流対岸側をエアピックで掘り出し、浮かび上がってきた岩盤をひっくり返した時にキャストが発見され、川底を隈なく見ると茶色の指骨が見つかった。
発見時は、茶色でヒビ１つなかったけれども、この日はまだ何も見つけていなかったこともあり、興奮してしまって我を忘れてしまったのか、普通ならばコンクリート針で慎重に採らなければならないのに、エアピックで取り出そうとして、振動が化石に伝わり４分割になってしまった。

発掘１４５日目

大腿骨（３）

幅7.3ｃｍ　長さ6.1ｃｍ

発掘１４５日目。太一と鈴木さんが川底に残っていた大腿骨の続きを取り出したときに３分割の破片として発見。
クリーニングは、骨の保存状態がよかったこともあり上手く接合した。
しかし、大腿骨（１）上部に接合する可能性があるが、大腿骨（１）と大腿骨（３）との間にかなりの隙間があり、粘土で隙間を埋めることもできなかった。

発掘１３６日目

指骨（１０）

幅2.5ｃｍ　長さ3.8ｃｍ

発掘１３６日目。太一が大腿骨（１）の発見された周辺の川底を調査していると、大腿骨（２）の裏から１０ｃｍほどのノジュールの中から発見された。
それを橋本隊員がクリーニングすることで２つに割れた化石をくっつけて指骨化石となった。

発掘１３５日目

指骨（９）

長さ4.0 cm　太さ3.0 cm

134日目に川底を発掘していた太一が、15 cmほどのノジュールを発見。
本部に持ち帰り、神田隊員がクリーニングした結果、大腿骨(2)、指骨(8)、肋骨(6)などと共に、この化石も出てきた。

クリーニングする前は、３cmという太さから、脊椎骨ではないかと推測されたが、母岩をすべて取り除いた結果、指骨であることが分かった。
元々の長さは6 cm以上で、指骨の中でも大きな部類に入ると考えられるが、1/3ほど失われている。

ノジュールからは、部位不明の化石片が４個出土したが、そのうちの１個が、この指骨(9)とよく似た断面をしている。
元は同一の骨であった可能性もあるが、中間部分が欠損しているため、復元は難しい。

発掘１３４日目

指骨（８）

長さ3.0 cm　太さ1.5 cm

134日目に川底を発掘していた太一が、15 cmほどのノジュールを発見。
本部に持ち帰り、神田隊員がクリーニングした結果、大腿骨(2)、指骨(9)、肋骨(6)、さらにこの骨と、立て続けに出現。さらに、部位不明の骨のかけらまでポロポロと出てきた。

極めて硬いノジュールであったが、わずか15 cmほどの塊の中に、大量の骨が含まれているので、鈴木先生の伝家の宝刀・ダイヤモンドカッターは使えない。

そこで神田隊員は、エアチゼルを使い、ノジュール表面に筋を１本ずつ刻み込むようにして、母岩を削っていった。
特に、この指骨(8)は、肋骨(6)と癒着していたため、初めはひとつの骨と誤認したほど。傷つけないよう切り離すのに、神田隊員は神経をすり減らした。
実に根気のいる作業であったが、ほぼ一日を費やして、化石をすべて取り出すことに成功した。

このように、化石が密集している場所を『ボーンベッド』と呼ぶ…と鈴木先生に教わった。（ボーン＝骨）

発掘１３３日目

指骨（７）

長さ5.4 cm　太さ3.4 cm

135日目に、本部前で、岩盤を砕く作業をしていた金子隊員。
30cmほどの岩に、５kgハンマーを振り下ろすと、白っぽい塊が出てきた。
133日目に続き、またもや化石発見か！　と意気込んで、さらに細かいクリーニングを行うと、期待通り、骨が出現した。

高橋先生に鑑定して頂いたところ、これもやはり、首長竜の指骨であると判明。
だが、半分ほど欠けている。
残りを見つけ出そうと、隊員たちが協力して川底を掘り返したところ、肋骨や大腿骨などを大量に発見。
"首長竜化石ラッシュ"の先駆けとなった、記念すべき骨である。

発掘１３５日目

指骨（６）

縦3.7 cm　横4.0 cm

133日目に金子隊員が発見。
30 cmほどの岩を川底から持ち上げたところ、表面に二枚貝の化石が付着しているのを発見。
「あった！・・・けど、二枚貝か…」
もはや、二枚貝では満足できなくなっている隊員たち。

金子隊員が、その岩をひっくり返してみると、今度は白っぽい塊が目に付いた。
115日目の『化石だ！と大喜びしたのに、方解石という鉱物でガッカリ』事件が、脳裏をよぎったのか、
「これも、鉱物ですかね・・・一応、クリーニングしてみますか」
と、あまり期待していない様子で、本部に持ち帰る。

エアチゼルを当てると、母岩はポロポロとはがれ落ち、"骨"意外のなにものでもない、と断言できる形状の化石が、出現。
「やっぱり骨だった！　川で捨てなくて良かったよ・・・ラッキーだった」
と、胸をなで下ろす金子隊員。

その場で、高橋先生に鑑定して頂いた結果、首長竜の指骨であることが確認された。

発掘１３７日目

指骨（５）

長さ2.5 cm　太さ1.3 cm

137日目にクリーニング作業をしていた橋本隊員、30 cmほどの硬い岩を相手に、かなり手こずっていた。
ハンマーとタガネでなんとか穴を空け、とどめの一撃を打ち込むと、岩はようやく二つに割れた。
すると、断面に、骨の関節面と見られる、平らな物体が出てきた。

だが、その時点では、琥珀や植物化石といった"小物"しか見つけ出したことのなかった橋本隊員。関節面に気付かず、さらにハンマーを振り下ろすところだった。
「へぇ、これが関節なんですか…」と、化石に見入る橋本隊員。

クリーニングした後、高橋先生に鑑定して頂いた結果、指骨であることが判明。元は５cm程度の骨だったと考えられるが、半分ほど欠けている。
橋本隊員は、もう半分を見つけ出そうと、さらに岩を割り続けたが、残りの部分は出てこなかった。

不完全な状態とはいえ、念願の首長竜化石にたどり着いた橋本隊員、飛び上がって喜びたいという思いを、必死に押さえていたとか。

発掘１３５日目

指骨（４）

長さ5.5 cm　幅2.5 cm

95日目に指骨(2)が出土した地点を、135日目に太一が再調査。
１ヶ月以上経過した川底には、再び土砂が堆積しており、１からのやり直しとなった。
しかし、川底の様子を30分ほど探っていると、早くもノジュールが埋まっているのを発見！　以前、鈴木先生を脱帽させた、太一の眼力は、健在であった。
タガネを打ち込んで、ノジュールを取り出してみると、その重さは2kgほど。

本部に持ち帰って表面を調べてみると、大小２個の、茶色い化石が露出しているのが分かった。
ノジュールがきわめて硬く、ハンマーでは割れないので、鈴木先生がダイヤモンドカッターを用いて、２個の化石部分を慎重に切り分ける。
その後、金子隊員らが、エアチゼルやコンクリート針で慎重に母岩を削り取っていった。

まず、クリーニングが完了したのは、この小さい骨。これまでに出土した首長竜の指骨とほぼ同じ形状である。
しかし、全体の色合いが、これまでになく濃い茶色であるため、「別種の生き物の骨ではないか？」との声もあがった。

長谷川博士の鑑定の結果は、やはりこれも首長竜の指骨。
なお、同じノジュールから出土した、大きい方の骨は、肋骨(5)であると判明した。

発掘１３４日目

大腿骨（２）

縦6.5 cm　横10.0 cm

134日目に川底を発掘していた太一が、15 cmほどのノジュールを発見。その表面には、指骨らしき物が、顔をのぞかせていた。
だが、本部に持ち帰り、高橋先生に見て頂いたところ、さらに多くの化石が含まれていることがわかった。
まず、白っぽくなっている部分を、神田隊員が慎重にクリーニングすると、大人のこぶし程の大きさ、形の化石が出てきた。

一部分が欠けているらしく、何の骨なのかは予想がつかなかったが、長谷川博士の鑑定により、首長竜の大腿骨の骨であることが分かった。
大腿骨(1)よりは、小さな部位であるようだ。

なお、この化石が含まれていた15 cmほどのノジュールからは、他にも、指骨(9)など複数の骨が出土した。
ノジュールは、骨に含まれるカルシウムなどの成分が固まって出来る。
「ノジュール＝宝の山」であることが、改めて証明された。

発掘１２９日目

指骨（３）

長さ5.5 cm　太さ3.5 cm

121日目から125日目にかけて川から掘り出した岩盤を、129日目にクリーニングしている最中に発見した。
野球ボールくらいの大きさの石２個を、城島と太一がクリーニングしていると、ほぼ同時に、化石らしき物が顔をのぞかせた。
太一「ア、なんかある！」
城島「こっちもや！」
二人が、それぞれの石を見比べてみると…
城島「なんか、断面が似とるな」
太一「この二つの石は、同じポイントで掘ったんでしょ？だから、ひとつながりの骨だよ、絶対！」
というわけで、二人は競争するように、クリーニングを進めた。
城島の方は、野球ボール大の石の中に、さらに別の骨〔後に肋骨(4)と判明〕が含まれており、すべてを傷つけずに取り出すのは極めて困難な作業であった。

エアチゼルを手に奮闘すること２時間、ようやくクリーニングが終了し、二つの化石は、見事にひとつに復元された。

130日目に、長谷川博士に鑑定して頂いた結果、首長竜の指骨であることが判明。
比較的太く、長い指骨であり、ヒレの付け根に近い部分の物であると見られる。

発掘１２１日目

大腿骨（１）

長さ12.6 cm　直径17.6 cm

121日目。この日は朝から、琥珀や貝など、小型の化石が立て続けに出土し、大発見につながりそうな期待と予感に満ちていた。
すると、昼頃になって、神田隊員が川底から30 cmほどの岩の塊を掘り出した。
その表面には、茶色のＵ字型をした物体が露出している。ひと目見ただけではとても骨化石とは思えない、奇妙な形だ。
「なんだ、コリャ!?」
「アヤしい！」
次々と声があがる。
鈴木先生は、直感的に首長竜の前ヒレの骨（上腕骨）ではないかと推測した。
化石の破片が周りに散乱していると考えられるため、周辺の砂利を根こそぎ集めて本部に運び、乾燥させた。

129日目に、発見者である神田隊員がクリーニング。エアチゼルで慎重に母岩を削ってゆく。
かき集めた土砂を他の隊員が手分けしてクリーニングを行い、接合面が一致しそうな破片を２個回収した。
これら３個をつなぎ合わせると、これまでにないほどの大きさの化石となった。
ただし、厚さは2 cmほどで、やや平べったい。まるで、うちわのようだ。
一体、何の骨なのか？　隊員たちは首をひねるばかり。

130日目に、いわき市石炭化石館に行き、学芸員の菜花智さんにも協力して頂きながら、首長竜の骨格標本と比較。
その結果、後ろヒレの付け根にある大腿骨であると特定された。
水中で大きなヒレを動かすために、かなり頑丈な構造のようだ。

発掘９５日目

指骨（２）

長さ6.0 cm　最大直径3.0 cm

95日目に、太一と鈴木先生が発見。
二人はまず、川底でキラキラと光る直径５cmほどの大きな琥珀を見つけた。
そして、琥珀の周りの砂利をスコップで取り除いていると、この化石が出土したのだ。

54日目に出土し、"海竜の指（ヒレ）の一部"と判明した化石と、よく似た形状だが、長さも太さも２倍以上ある。

色がかなり白いのも気になるところ。
動物の骨はもともと白いのだが、埋もれた地層に酸素が多く含まれると、風化しやすく、色も変化してしまう。
この化石が出土した近辺の岩盤は、薄い緑色をしていた。これは、酸素よりも硫黄が多いためである。
酸素が少ない地層では、風化があまり進まないため、元の色を保つことができるといわれる。

105日目に、福島県いわき市の石炭化石館に展示されている首長竜〔プレシオサウルス類〕のレプリカと比較したところ、指（ヒレ）の中央部の骨と一致した。
首長竜のヒレの骨は、水の抵抗を減らすために、付け根の部分は丸く、先端に近づくほど扁平になっている。
石炭化石館学芸員の菜花智さんにも、首長竜の骨に間違いないとのお墨付きを頂いた。

発掘５２日目

指骨（１）〔ヒレの骨〕

長さ2.6 cm　直径1.0 cm

52日目に"太一ノジュール２"の中から顔をのぞかせた、タバコのフィルター状の物体。そして、54日目に、城島が砂利をクリーニングしていて見つけた物体が、ピタリと接合した。
膨大な量の砂利の中から、ただの石と区別できないほど小さなかけらを見逃さなかった、リーダー城島のお手柄だった。

断面を顕微鏡で調べ、恐竜の骨のサンプルと比較してみると、骨特有の構造をしている（"管"がある）ことが判明。
したがって、「動物の骨の化石である」と結論づけられた。
だがこの時点では、どんな動物の、どの部分の骨なのか、特定できなかった。

91日目に、東京・上野の国立科学博物館に行き、展示されている骨格標本と比較してみた。
ティラノサウルスなど、陸上で生活していた恐竜の骨と比べると、かなり細い。
地上で重い体重を支えるのは、困難に見える。
ということは、浮力の助けを借りて生活している海竜の骨ではないのか？

この予測は正しかった。
92日目、群馬県自然史博物館・館長の長谷川善和博士の鑑定により、首長竜の指（ヒレ）の骨であると判明した。

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