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アントワーヌ=ジャン・グロ
《アルコレ橋上のボナパルト将軍》
©Photo RMN‐H. Lewandowski

 1789年に勃発したフランス革命は、それまで絶対王制が支配していたアンシャン・レジーム(旧制度)を終結させましたが、その革命勢力の中から新興市民階級の支持を得て登場したのがナポレオンです。海外遠征で次々と勝利したナポレオンは国民の絶大な支持を得て、ついには皇帝の地位に就き、フランス革命の理念を権力によって押し進めました。そしてナポレオンが、文化政策において力を入れたのが古代ローマの復興でした。ナポレオンは、イタリア遠征時に、古代ローマやルネサンスの美術品をフランスに持ち帰り、パリの街中には凱旋門などローマ様式の建築やモニュメントをつくらせました。こうして、古代を理想とする美術が19世紀初頭の美術界を席巻していくようになったのです。