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本展には、アングル最晩年の傑作《トルコ風呂》が出品されます。この作品は、日本初公開であることはもちろんのこと、フランス国外への初めての出展になります。画面に登場するのは、20人以上の裸婦たち。音楽を奏する者、香水をふりかけたり、菓子を食べたり、睡魔に身をゆだねたりする女性たち。アングルが生涯において幾度となく描いてきた裸婦のモチーフが見事に融合した、集大成ともいうべき作品です。もともとカンヴァスは正方形でしたが、アングル自身の希望によって円形の枠に収められたと言います。
アングル《トルコ風呂》
©Photo RMN‐G. Blot / C. Jean
その選択により作品は、より魅力的なものとなっています。隠し窓からそっと覗いたような薄暗い空間の中に見えるのは、女性の身体が綴られる官能的な情景ですが、アングルの技量は、それを神秘的な澄明さと静けさを持つ世界へと昇華させています。